続・ホハレ峠1

 2005年11月、再び私はこの地にやって来た。1年 
前に初めて訪れた時には日没が迫っており満足な探索
ができなかったのである。 今回は自宅を朝5時に出発
するといった気合いの入れ様である。更に今回はベン
リー90操るグロメク氏の強力な掩護を受けることがで
きた。Benly90とCT110ハンターカブ、本田横型空冷
単気筒エンヂン搭載機による廃道特別探索隊を編成し
て、この恐るべき峠道を通り抜けるのだ。
 0820時ホハレ林道起点に到着。さすがに11月末だ
けに気温が低く寒い。しかしそれ以上に霧が濃く視界
が悪いことが先行きを不安にさせる。



本田横型空冷単気筒エンヂンを搭載するベンリーとハンター
 
ホハレ林道舗装区間 霧が濃く見通し悪し

  ホハレ林道を登り標高を上げていくとやがて霧も晴
 れ、見上げれば青い空が広がっていた。これは絶好の
 探索日和である。先程までの不安な気分も一気に吹き
 飛んだ。道中ハイカーのパーティーも見られた。そし
 て、0845時お地蔵さんが居られる旧ホハレ峠に到着。
  峠のお地蔵さんに今日の探索の無事を祈願し、早速
 探索開始である。今回の第二次探索ではホハレ峠の旧
 道を通り抜けて門入の地を踏むことが目的である。
  と、その時川上方面より2人のキノコハンターと思
 しき中年男性が歩いてきた。グロメク氏がすかさず門
 入への行き方を訪ねる。


 門入へ抜けるにはホハレのお地蔵さんから道を跨いだ先の谷筋を下って 
いけばいいと言う。ただしとんでもなく荒れているからあまりお薦めはで
きないようなニュアンスで説明してくださった。ちなみにお地蔵さんのお
られる旧ホハレ峠から先に延びる林道は途中で徒歩道になり、夜叉ヶ池の
方へ続いているらしい。別れ際にグロメク氏がキノコハンターの方に「マ
ツタケですか?」と問いかけるがノーコメントであった。
 はてさて薮漕ぎと沢歩きが確定した以上、ここから先は徒歩にて進まな
ければならない。ハンターとベンリーを峠の広場の隅に移動させて歩哨の
為の準備をしていると、峠に来る途中で追い越したハイカーの団体さんが
追いついてきた。ホハレ峠はどこかと尋ねられたので新旧の峠の存在を説
明すると新の方のホハレ峠を目指しているらしく引き返して行かれた。


  思いのほか来訪者が多く賑やかだった旧ホハレ峠を
 後にし、転げ落ちるように崖を下る。 グロメク氏が斜
 面に女性物の下着が落ちているのを発見する。少し離
 れた場所にはポーチも散乱していた。まず人が通るこ
 とがない崖に、なぜこんなこんな物があるか全くもっ
 て不可解である。何か事件性も感じられて少々不気味
 だったが、ともかく門入を目指して前進しなければな
 らない。
  谷筋の底に下りると結構歩き易い。ここが黒谷の源
 流であるのだろうか。この状況がずっと続いてくれる
 ことを願うばかりである。


 最初は水のなかった谷筋もいくつかの支流が集まり、
やがて水が流れる沢となる。左の岸上に旧ホハレ峠の
道筋らしきものが確認できるのだが、そちらより沢を
下る方が遥かに歩き易そうなのである。そういえばこ
こは相当山奥であり熊の住処であることを思い出した。
リュックからポリス笛を取り出し、ピッピーと吹きな
がら沢を下る。グロメク氏は何やら奇声を発したり、
歌を歌いながら野生動物に自身の存在をアピールして
いる。しかしポリス笛の音色はまるで小学生の遠足を
彷佛させる。車道を歩いていて車が来ると先生が笛を
吹いて注意を促していたのを思い出した。

  最初は緩やかに下っていた沢も段差が激しくなって
 いき、挙げ句には滝の様になる。水量も増しており、
 最初は水に落ちないように巧みに石や岩の上を飛び移
 っていたが、歩けど歩けど続く沢下りに次第に体力は
 消耗し集中力も途切れていく。そしてぬるぬるの岩に
 滑って転ぶ始末である。この辺りでブーツの中はびし
 ょ濡れであった。そう…この時の服装はライディング
 仕様であり、歩きにくいことこの上なく、おまけに眼
 鏡は曇るはで散々である。最初はグロメク氏と会話を
 しつつ意気揚々と下っていたが、悲しいかな喋る気力
 も萎えてきたのである。続・ホハレ峠2へ続く


探索トップへ戻る