古坂峠再び2

 さすがは古坂峠である。有志によって開拓されたとは言えのっけからナ 
タの出番である。それにしてもこの笹の枝の苅り難いこと。適度にしなり
があるので鋭利な鉈と言えども簡単には切れてくれないのである。足場も
枯葉や枯れ枝が堆積してフカフカで踏ん張りがきかず、遅々として苅り払
いが進まないのだ。途中で面倒臭くなって邪魔な枝をひとくくりにして側
壁の薮の枝に押し倒して進路を確保することにした。それにしても第一ヘ
アピンまでの笹薮の密度の濃さは半端なものではない。現在は枯れてしま
っており辛うじてバイク一台分苅り払いされてはいるのだがそれでも前進
し難いことこのうえないのだ。これはとてもじゃないが植生生い茂る夏場
は無理そうである。グロメク氏はこのような新車ハンターのカウルに擦り
傷がつくような薮路に連れて来られて完全に閉口していた。



辛うじてバイク一台分苅り払いされている

 

 


第一ヘアピン付近で笹薮に苦戦する05式ハンター

  猛烈な笹薮の第一ヘアピンを曲がると幾分視界が開
 ける。が、今度は路面に水が流れており少々ガレてい
 るところがあったり場所によってはヌタヌタになって
 いるのだ。しかしながらローギヤード化したハンター
 なら何の問題も無く前進することができた。が、その
 直後であった。後続の05式ハンターのグロメク氏から
 「ヘルプー!」と叫び声があがる。これは一大事だと
 ハンターを乗り捨て走って戻ると、側壁から伸びるツ
 タに絡まって身動きの取れなくなった05式ハンターの
 姿があった。グロメク氏は最初ハンターが壊れたと思
 ったらしいが実はツタがミラーに絡まっていたのだ。

 思わぬアクシデントであったがなんとか難局を乗り 
切ることができた。そして第二ヘアピンに到着である。
御覧のようにいくつもの倒木が重なり完全に道を塞い
でいる。この倒木群がこの旧道の車両通行不可を決定
付けているのだ。これではハンターはおろか歩きでも
通過するのもままならない。初めてこの光景を目の当
たりにした時は完全に失望した。が、この第二ヘアピ
ンの直前に辛うじてショートカットできそうな崖があ
るとかなり早い段階からR173-NETのあきら氏から情
報をいただいていたのである。私が初めて訪れた時に
既にその崖にはタイヤ痕が刻まれていた。


  これがそのショートカットの崖である。画像では全
 然伝わらないが高さは二メートル程あり斜度もかなり
 キツい。徒歩で偵察した際もこのショートカット路を
 登ったのだが手をつかないと上がれない程の角度だ。
 助走をつけて一気に登ってしまいたいところだが、そ
 うは問屋がおろさない。助走区間が道路幅分しかなく
 (推定3m)、おまけに道路の真ん中が凹んでおり沢状態
 なのである。ほぼゼロ発進を強いられることになり、
 副変速機のローをもってしても厳しい斜面だ。この難
 所を如何ようにして乗り越えるかしばし悩む。


 協議の結果、二人がかりで"押し"で登ることに決定した。私は助走区間 
となる路面の凹みを埋め立てて大和魂一発で勢いをつけて登れないかと思
ったが、ここは二人いる強みを生かして、また安全かつ確実に難所を乗り
越えたいとの賢明なグロメク氏の提案こそ最良であった。
 しかし二人がかりで押して登るといってもこの崖、地質がもろくズルズ
ルで非常に頼りない。そこで今探索二つ目となる三種の神器「スコップ」
を取りいだし、"押し"で上がる為の足場を整地することにしたのだ。ハン
ターのタイヤの通るラインとは別に足で踏ん張る為の段差をつくる簡易工
事である。またタイヤの通るラインも少しでもタイヤがグリップするよう
に、また傾斜が緩やかになる様に掘削した。グロメク氏が率先して本当に
素晴しい仕事をしてくれた。


  そしていざ登頂である。要領としてはハンター搭乗者は跨がったままア
 クセルオンで足をバタバタさせつつ登る。ヘルパーは後ろから荷台を押す
 のであるが、単に上に押し上げるのではない。斜面の土にタイヤをトラク
 ションさせるように押しつけるのだ。何度もイメージトレーニングを繰り
 返して、まずは81式ハンターを上げることにした。
  アクセルを吹かして一気に突っ込むがすぐに坂の途中で失速した。しか
 し後ろからグロメク氏が押してくれたお陰で微かにトラクションをかける
 ことができ、見事に登頂に成功した。が、グロメク氏はリアタイヤの掻い
 た土をモロに浴びてしまったようである。続いて05式ハンターである。
 さすがに副変速機を搭載しているのと、新車でサスがよく動くのでいとも
 簡単に登頂させることができた。 古坂峠再び3へ続く

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