古坂峠再び1

 完膚無きまでに植生に侵食されたこの廃道を訪れそして逃げ帰ってきたのは昨年6月のことである。
再びこの廃道を訪れたのは年が明けてからになる。1月末にR173-NETのあきら氏主催の「
古坂峠で
"自炊"をするオフ」
に参加させていただいた(古坂フェスティバルと称され1月末から2月末までの
毎週日曜日に開催され各地から廃道探索家が集結するという脅威のイベントだったのである)。
その時に初めてトンネル北側より徒歩で峠に到達することができた。昨年容赦無く行く手を阻んだあ
の"緑塊"もこの季節は姿を潜めていた。そしてあれから幾人もの廃道探索家がこの廃道に挑み、道を
開拓した跡がみられたのである。既に古坂峠は如何なる車両も通さない廃道では無くなっていたのだ。
 実際にこの目で見て歩いてみて確信した。今ならハンターでこの廃道を越えることができると。

 時は3月初旬。今回もまた05式ハンター搭乗のグロ 
メク氏の心強い掩護を要することができた。「M山へ
行ったついでにサクッと古坂も越えちゃいましょうよ 」
などと誘いつつ、キャリアにくくりつけたバッグの中
身は実は滑車付きロープ、スコップ、ナタなどの超局
地走破用装備だったのである。今回は2台編成であっ
たこと、そしてこの廃道を開拓して既に走破された有
志に敬意を払う意味をこめてトンネル北側よりの逆ル
ートを選択することとした。南側ルートからは軽岡峠
で同行した絹路氏も既に突破されたとのこと。北側か
らはCRM80が突破したらしいとの情報も得ていた。

  旧道入口の広場で私の81式ハンターのギヤ比をロー
 に振るべくフロントスプロケットの交換作業をしてい
 る間にグロメク氏はこの先の旧道がどうなっているか
 徒歩で視察に赴く。枯れ薮の海と化した道の奥からす
 ぐに氏の苦笑する声が聴こえてきた。
  スプロケットの換装が完了し突入の準備は整った。
 グロメク氏に納車後ちょうど1ヶ月の05式ハンターで
 本当に進むのかと最終の意志確認をする。途中であま
 りにヤバそうだったら05式ハンターだけ引き返すとい
 う条件で突入を開始することにした。


旧道に入って十数メートル地点から現道を振り返る
 
枯れ薮の海であるが植生溢れる時期に比べれば遥かに走り易い

 さて枯れ薮の海を越えると巨大な倒木が立ちはだか 
るのであるが、なんと驚くことにバイク一台分が通過
できるように真ん中がくり抜かれていたのである。こ
れは間違い無く同好の有志達の手によるものである。
ハンターでの丸太越えを披露することができないのは
至極残念であるが、この巨木を恐らくノコギリで切っ
たのであろう。その労に感謝しつつ通過させていただ
いた。それにしてもこの廃道にもう一度車両を通そう
とするその執念にただただ圧倒されるばかりである。
ちなみに右画像は1月に開催された古坂フェスティバ
ルの時に撮影したものである。


見事にくり抜かれた巨大倒木
 
有志による工事の恩恵でラクラク通過

  巨大倒木を越えるといよいよ古坂峠の真骨頂である
 ヘアピンカーブが連続する。かつては四十九峠と呼ば
 れた難所であり、九十九折れで一気に高度を稼いでい
 るのだ。現道から見るとその凄さがよく解る。しかも
 それは植生に覆われてまるで天空の城ラピュタの様相
 であるのだ。さてヘアピンに入る前に私が昨年徒歩で
 の前進をも断念させた笹薮のお出ましである。ここも
 有り難いことに有志によって苅り払いされていたのだ。
 しかしながら側壁から薮が倒れかかっておりそのまま
 通過という訳にはいかなかった。ここで廃道探索の3
 種の神器ナタの出番となる。 古坂峠再び2へ続く

←探索トップへ戻る