裏山死線2

 道が途切れタイヤ痕も確認できなくなった地点より 
引き返した05式ハンターと81式ハンターは先程の分
岐点まで戻り、下りルートを行ってみることにした。
 しばらく下って行くと裏山林道本線に出たが、本線
を横切って更に下る支線があったのでもちろんそちら
を選ぶことにした。途中、林間のとんでもないところ
にタイヤ痕があり、さほど難しそうなルートではなさ
そうだったので突入してみた。先程の激坂ガレ登りと
はうって変わって楽しげなコースであった。グロメク
氏も私もすっかり御満悦である。だがこの林間コース
を抜けるととんでもない光景が飛び込んできた。



林間にタイヤ痕を発見
 
林間コースの先に待っていたのは…

 いきなりジープ坂である!!
 
なんと我々が下って来た支線はジープ坂に繋がっていたのだ。唐突過ぎる
 難所の出現にグロメク氏も私も戸惑うばかりであった。今回で目の当たり
 にするのは二度目であるが相も変わらずとんでもない坂である。
 路面のコンディションも非常によろしくなく、浮き砂利や土でズルズルで
 手をついて歩いて登るのもかなり困難だ。坂の下は泥でヌタっておりその
 手前までは頭大の石がゴロゴロと転がっており、助走を取って勢いで登っ
 てしまうという芸当もできそうにない。前回はハイギヤードセッティング
 だったのでジープ坂に辿り着く途中のガレ場まで行くのが精一杯だった。
 今回は越えられないまでもなんとかこのジープ坂に触れるだけでもという
 つもりで来たのだが完全に戦意喪失である(;´Д`)



ジープ坂近影
画像でもえげつなさが伝わるはずである
 
ジープ坂の上方に続く道。既に
81式ハンターは亀の子状態である

 エスケープルートを辿ってジープ坂の下に回りこん 
で途方に暮れてる私を傍目に、今まで撮影監督として
記録活動に専念していたグロメク氏がしびれを切らし
てジープ坂めがけて突進して行った。監督自らアタッ
クである!ハンターでのジープ坂アタックという決定
的瞬間を見逃してはなるまいと慌てて後を追う。
 副変速機は無論ロー。05式ハンターのエンジンは凄
い唸り声をあげて頭大の石ゴロゴロの坂を駆け上がっ
て行く。そのままの勢いで奥に構えるジープ坂まで辿
り着ければ勝機アリだが…。


敢え無く坂手前のぬかるみで停止
 
リトライを試みるが…
 
虚しくタイヤは空転するばかり

  悪い予感は無慈悲にも的中する。坂直前のぬかるみ
 に車輪を取られ05式ハンターの前進は止まった。やは
 り助走を取って勢い任せに登るのは無理である。残る
 はゼロ発進のみである。が、副変速機のローと言えど
 ゼロ発進でこの極悪な坂を登るにはハンターのエンジ
 ンは余りに非力すぎる。いや、パワーの問題ではない
 のかもしれない。ズルズルの路面をグリップさせるタ
 イヤとサスも必要不可欠である。ハンターで無理に突
 っ込むにはあまりにリスクが大き過ぎる。もし失敗し
 てまっ逆さまに転落でもしたらマシンは廃車、人間は
 廃人になるのは間違い無い。断腸の思いで撤収である。


 残念ながらジープ坂攻略はならなかったが、失望するのはまだ早い。ハンターにはモデファイする余
地がまだまだ残っているからだ。オフロード車のサスのように動くモノチリサス、モトクロスタイヤに
ビードストッパー…あれもこれもつけちゃってあとは大和魂一発の気合いがあれば勝機は充分あると言
えるだろう。我々はもっと進化しないといけないのだ。
 とは言うものの、この後セローがこのジープ坂にアタック、攻略する様をまざまざと見せつけられた。
パワー、サスの動き、タイヤ…どれをとっても次元が違う。そしてマシンを操るライダーの気合いもさ
すがであった。ボクシング亀田3兄弟の亀田興毅並みに闘志漲る河内弁全開のナイスガイだったのだ。
 ジープ坂を撤収した頃にはもう正午を過ぎていた。一旦昼食タイムとし、午後からのアタックに備え
ることにした。まだまだ裏山死線は続くのであった。             裏山死線3へ続く

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