岐阜県道352大西瑞浪線1

 2005年4月1日。高速道路でのバイク二人乗りが解禁になった日である。仕事を終えその足で国道
1号
をひたすら東進する。ハンターカブは排気量105ccなので高速道路には無縁であり、リアシート
(キャリア)に乗っているのは鉈、スコップ、滑車、ロープの入ったバッグである。目指すは尾張の
国、愛知県であるのだが、無論愛知万博に行くわけでもない。
 目的はただ一つ、昨年夏に目の当たりにして戦慄を覚えた廃道「岐阜県道352大西瑞浪線」である。
この脅威の廃道を攻略するべく、尾張一宮に住む友人宅を前線基地として使わせてもらったのだ。


 翌朝早朝に友人宅を出発。向かうのは国道418号の通 
行不能区間である。ちょうど一年前のこの時期に全く同
じように友人宅を前線基地とさせてもらい、この通行不
能区間に挑んだわけだが、あいにく大規模な土砂崩れに
より行く手を阻まれた。今回は迅速且つ確実に県道大西
瑞浪線分岐点に辿り着く為に、十日神楽を経由する町道
を使って通行不能区間に入ることにした。今回、大西瑞
浪線を攻略する為にハンターのリアスプロケットを38丁
から45丁に換装した。更にこの通行不能区間に入る直前
に町道の道端でフロントスプロケットも16丁から14丁に
落とし、磐石の体制であの戦慄の廃道に挑む。


  先程の町道分岐より恵那方面へしばらく進むとこのよ
 うな分岐が現れる。この画像の中央に伸びている、バイ
 ク一台がやっと通れそうな獣道とも言える道こそが今回
 のターゲットである岐阜県道352大西瑞浪線である。
  ちなみに昨年夏に訪れた時には草が生い茂り、道が全
 くと言っていいくらい確認できなかった。今回は細くは
 あるものの、はっきりと道が認識できる。廃道を攻略す
 るにはやはり道が草木に侵食される前、雪解けの直後が
 最適であると考えられる。ただし今の時期、花粉症の人
 は要注意である。今年の花粉の飛散量は尋常でないらし
 い。幸運にも私は現在の所発症していない。



         分岐点路肩にあった起点標 
      

ここから先に続く獣道が県道であることの証である

 道は緩やかに下っていてとにかく狭い。人が1人通る 
のがやっとである。更に崖側(木曽川)に向かって傾斜
しているので滑り落ちないように細心の注意をはらう。
これだけ道が狭いと少しでもバランスを崩したり、石に
弾かれただけで命取りになる。慎重にゆっくりとハンタ
ーを走らせる。それにしても何年放置すればここまで道
が朽ち果てるものなのだろうか。 もとよりここには車道
なんてものは無く、県道を通すという計画が途中で頓挫
したものなのであろうか。しかし私の所有する12年前の
地図には先程の分岐点より木曽川を渡って瑞浪市方面へ
延びるこの道が主要道として確かに記されているのだ。


  丸山ダム湖畔に架かる謎の吊り橋「五月橋」が見えて
 きた。しかし、その直前で左画像にあるように土砂が崩
 れて道がこんもりと隆起している。 昨年夏にこの地点に
 来た時は草木に覆われていたせいかかなり狭く険しく見
 え、通過にはかなり困難を要すると懸念していた。しか
 し草木が生い茂っていないと視界も開け、道幅も心無し
 か広く感じられる。なんとかなりそうである。
  とは言うもののこの土砂の地盤はかなり緩そうなので
 油断は禁物である。だが、できうる限りローギヤード化
 したハンターの敵では無かった。 ゆっくりだがパワフル
 にこの斜面を越える。

 五月橋に到着である。県道起点からここまで 
道は狭かったが意外とすんなりと辿り着くこと
ができた。今回の探索で最悪でもここまでは踏
破しようと思っていたので一先ず安心である。
 もはや説明するまでも無いがこの五月橋、通
るところが金網である。遥か下にダム湖畔の淵
がスケルトンで見えるので物凄い恐怖である。
更に通過中には金網の繋ぎ目を踏む度に「ガタ
ン!」と音をたてるので恐怖度倍増である。
しかし人が数人で渡っても大丈夫なのだから、
ハンターと私の重量なら充分楽勝である。

 
 


 さて、精神的に余裕があったのは県道起点から五月橋までの区間までである。道幅は全区間の中でも
最も狭いのだが勾配も緩やかな下りで路面も概ねフラットであった。唯一の障害の土砂崩れ箇所もハン
ターから降りることなく越えられた。しかし、この後すぐにとんでもない修羅場が待っていたのだ。
岐阜県道352大西瑞浪線2へ続く  

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