神大滝林道2
それにしても見事なまでのV字の切り通しである。 |
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坂下峠より滋賀県側もやはり降雨時に水が流れて路 面が掘り下げられたのであろうか。結構深い溝となっ ている。しかしバイクで通行するには全く問題ない。 時折、人の頭程の石が転がっているので踏んで弾かれ ることのないように慎重に進むことにする。 |
しばらく進むととんでもない段差が現れた。これが |
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大雨で掘り下げられた道の様相はひどくなるばかり |
下りが続いているはずの道が上っているのである。これはどういうこと か?降雨時に流れた水は道を横断して谷側へ注いだのだ。道は荒れ狂う川 と化し完膚無きまでに掘り下げられたのだ。この干上がった川底から這い 上がらなければならないのだが物凄い激坂である…というよりは壁である。 路面の土は非常にもろく、ここを越えようと突撃をかましてもスタックし て無駄に掘り下げる結果となり、ますます状況が悪化するのは明白である。 川底にはコンクリートブロックが敷かれている。恐らくこのブロックを 渡って左側のラインをとって越えればいいのであろうが、恥ずかしながら 勢いをつけてこのブロックを渡り、ズルズルの斜面をバンクさせながら登 る技量と度胸は持ちあわせてはいない。 画像では解らないが、干上がった 川は谷側へ凄い角度で急降下しているのだ。 |
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勢いをつけて突撃をかまして、もし谷側へ弾かれ転落したら死は免れな いであろう。まだハンターの持つポテンシャルで何ができて何ができない か把握しきれていない。そのような状況に於いて自分の技量以上のことを 試すのはあまりにリスクが大き過ぎる。やはりここは力技でハンターを押 し上げるか撤退するかの選択肢しか今の私には無いのだ。しかし押し上げ るにしても私の背丈以上あり、かなり急な斜面である。先程の岩登りで既 に筋力はほぼ使い果たしている。この時点で越えるのは無理だと諦めてい たのだが最善を尽くすことにした。先程の岩登りと同じ要領でトライして みる。激坂の中央に突っ込みハンターをほぼ垂直に近い状態で立たせる。 ここで後ろに回りこみ、力の限り押し上げる。すると上手い具合に激坂の 中間地点で左に倒れて下へ滑ることなく停まってくれたのだ。 |
このチャンスを見逃さなかった。すぐさま上に回りこみ引き上げることにする。先程の岩登り同様、
路面がズルズルで踏ん張るのに難儀したがここで力を緩めればハンターは坂の下まで滑って行き、また
一からやり直しである。左手で山側の木を掴んで踏ん張り、右手でハンターを渾身の力で引っ張り上げ
ることに成功した。
絶体絶命の難箇所であったが、そこを越えられたの は奇跡的であったとも言える。しばらく道端に倒れこ んだまま起き上がる気力もなかったが、一刻も早くこ の極悪ダート区間から抜け出したいという気持ちが私 を奮い立たせた。もう散々である。 しばらく進むとまた激しい崩落箇所が現れた。もは やバイク一台分のラインがあるかどうかの道幅であり、 これはもう道と言うよりは斜面である。谷側へ滑り落 ちていかないように慎重に通過した。 |
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崩落箇所を越えて間もなくするとやる気の無いゲー トと舗装が現れた。なんとか通り抜けることができた が喜びや達成感は皆無であった。むしろ自分の技量の 無さを思い知る結果となり、道端でうなだれていると 滋賀県側より1台のモトクロッサーがやって来た。逆 輸入して公道走行可能にしたCRF450のようである。 挨拶して少し話をしたが、根こそぎ舗装化されている 昨今の林道の現状にやはりうんざりされてるそうだ。 しばし話した後、別れの挨拶をして走り去って行った のだが、スタンディングで軽やかに先の崩落箇所を通 過する姿に眩しさを感じた。 |
こうして今回は力技の限りを使って走破することができたが、帰りの足取りは重かった。
ライダー御用達の某地図の「自然の強さを全身で知る」「腕に自信のある人のみ通行可」のコメントに
全くもって相違なく、完全に打ちのめされてしまった。このままではいけない。今まで以上に鍛練を積
み重ね、特にライディングの技量をもっと上げねばならぬと痛感させられたのであった。 終
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