茶呑峠2(稲荷谷林道)

 ガレ沢激坂を登りきったところで行止まりかと思い 
きや、右にカーブして一車線分のダートは更に続く。
おまけに丸太製の橋まで登場する始末である。八井谷
峠でみたそれと酷似しているが、橋の高さはいたって
低いので楽勝であった。それにしてもこの先がシング
ルトラックにでもなっていれば道を間違えたと断定で
きるのだが、先にも述べた通り辛うじて一車線分の道
が先に続くのである。ここまで来ると仮に引き返すと
してもかなり大変であり、徐々に精神的に追い込まれ
てくる。


  丸太製の橋の先であるが、最初はシングルトラック
 と見間違えたがやはりギリギリ車1台分が通れる車幅
 がある。そうそう簡単には引き返させてはくれないよ
 うだ。この画像箇所の勾配も相当キツく、無論"押し"
 で登らざるを得なかった。もはや茶呑峠を目指してい
 るのではなく間違って入って来た作業林道の終点をこ
 の目で確かめるべく前進していたと言ってもよい。

 尚も激坂は続く。いつもながら画像にしてしまうと 
たいしたことのないように見えるのだが実際には相当
の勾配である。路面も適度にガレており枯れ杉葉も堆
積している。最近車両が通った痕跡など微塵もない。
それでも前進しなければならないのだ。言わずもがな
"押し"でである。更にこんな時に限ってエンジンをス
トールさせてしまう。人力だけでは到底この激坂を登
るのは不可能である。一度機嫌を損ねたエンジンを再
始動させるのは実に難儀であり、ここで大幅な時間と
体力をロスすることとなる。あの岐阜県道352大西瑞
浪線の悪夢が再び甦る。この先、道は大きく左へとカ
ーブを描く。ヘアピンカーブである。

 さすがに体力の消耗が激しく、どうせ作業林道なのだろうからその終点を確かめる為にハンターを
"押し"で登り続けるのはナンセンスだと思い、ヘアピンカーブのところに置き去りにした。その先は
徒歩にて探索を続けることとする。

  一際キツい激坂の先に今度は右へとヘアピンカーブ
 が続いていた。ここも最初は道が途切れているように
 見えたのだが、実際に上まで登ってみると先程同様、
 無慈悲にも道は先に続いているのである。このヘアピ
 ンを曲がると多少勾配が緩やかになり真直ぐに道が続
 いていた。そしてその先に何やら小屋みたいなものが
 見える。近づいてみるとお地蔵さんが中に居られる。
 そしてその近くに木の札が立て掛けてあり、そこに書
 かれていた文字を見て愕然とした。"茶呑峠"とはっき
 り記されていたのだ。今まで辿ってきた道があの某地
 図に実線道として記されていた道だとは俄に信じ難い。


 しかしながら茶呑峠は今まさに立っているところで 
あるのだ。なにはともあれ再び先程のヘアピンカーブ
まで戻り、ここへハンターを持ってこなければならな
い。最終減速比をノーマルからローギヤードに換えよ
うと思ったが面倒だったので金玉根性"押し"でハンタ
ーを峠まで連れて行くことにする。物凄い重作業であ
ったのは言うまでもない。お地蔵さんの前でハンター
のスタンドを立てた瞬間に力尽き倒れ込んでしまった。
画像を見てもらうと手ぶれが激しく構図もメチャクチ
ャである。その時の私の疲労度、精神状態を如実に写
しだしているのである。

  茶呑峠より今まで辿って来た道を振り返る。京北町
 側に向かって今登ってきた坂道と平坦に続く道に分岐
 している 。親切にも標識が立て掛けてあり、今まで辿
 ってきた道は「坂道 殿橋」、緩やかな方は「ユリ道
 鳴の堂」と書かれていた。地図を見て照らし合わせて
 みると驚いたことにやはり今まで辿って来た道は作業
 林道では無く実線道として記されていた道だったのだ。
  峠より京都市側の下りも道が分岐しており、これま
 た勾配が緩やかな方と激坂の二通りがあったのである。

 峠にて英気を養い下って行くこととする。最初は分 
岐を緩やかな下りへととったが途中で落ち葉や枯葉が
尋常で無い程堆積していた。こっちは違う。そうカン
が働いたのですぐに引き返し、激坂の方を下って行く。
峠までの登りもかなりの激坂であったが、こちらもそ
れに劣らず極悪な坂である。重心を思いきり後ろに移
動させつつ慎重に下って行った。もしこっちの道が間
違いであれば再びこの鬼坂を登らなければならないハ
メになる。更に水分補給の水はもう尽きてしまってい
る。ここでのルート選択ミスはまさに万死に値する。
嫌がおうでも焦燥にかられることになる。


  しかし次の瞬間、ダートが途切れ舗装路が先に続い
 ていた。普段は好んで未舗装路へと突入し、各地の林
 道が舗装されているのに憂いているのだが、こんな時
 は有り難い。そして助かったと思わされるのである。
 全く皮肉な話であるのだが、ともかく舗装路が続いて
 いるということは人里が近いということである。
  予想通り鋪装された道の先には集落が存在していた。
 有り難いことに自動販売機も置かれていたのでリアル
 ゴールドを購入し腰に手をあてつつ一気に飲み干した。


集落に辿り着くと茶呑峠と記された標識があった
よくよくみるとなんと徒歩道扱いではないか
 

 さてこの京北町より茶呑峠へと続く極悪ダートであるが、03年度版のライダー御用達の某地図には
実線道として記されているが名称は書かれていなかった。後日立ち読みで05年度版を見てみると「稲
荷谷林道」と明記されているではないか。 しかしながらダートとして表記はされてはいない。今回ば
かりは某地図にしてやられたといった感じである。                     

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