茶呑峠(稲荷谷林道)1

 完膚無きまでに植生に侵食された古坂峠に大敗北を喫しR372を京都方面へと撤退する途中、天引ト
ンネル上にて昼食を取りつつ午後からどうしようか思案していた。肉体的にも精神的にも消耗しており、
またこの日は6月としては観測史上記録的な猛暑であった。ハンターに乗って風を切って走っていても
暑いのである。このまま自宅まで帰ろうかとすっかり弱気になっていたが、それではあまりにもふがい
無さ過ぎる。なにがしかの戦果が欲しい。そこで以前から気になっていた京北町にある茶呑峠へと赴く
こととした。地図上では非常に頼りない細い線で引かれているが紛れもない実線であり、それは則ち車
道を意味するのである。

 兵庫県と京都府の境から日吉ダムを経由して京北町 
までやってきた。この日の記録的な猛暑により少々熱
中症気味であったがこれから向かう茶呑峠がいかなる
峠なのかこの目で確認して帰途につくつもりでいた。
所謂帰りがけの駄賃を狙っていたのかと問われると実
はそうではない。期待などは全くしていなかったのだ。
私の少ない探索経験では地図上では細く線が引かれて
いるものの実際には鋪装はもちろん意外とよく整備さ
れている道だったりすることが多かったからだ。よく
てコンクリート鋪装、もしくは枯葉が堆積しているく
らいだと勝手に決めつけていた。


  京北町側より茶呑峠へ至る道へのT字分岐を曲がり
 目に飛び込んできたのは予想を大きく裏切りダートだ
 ったのだ。これはなんとも嬉しい誤算である。先程ま
 での熱中症気味の身体はどこへやら、一気に気分はハ
 イである。しばらくはフラットダートとコンクリ鋪装
 が交互に入れ替わる路面が続き「フラットダートフォ
 ーーッ!! 」「コンクリ鋪装フォーーーッ!!」など
 と叫びながら走る。無論頭に流れるBGMは「Livin la
 vida loca」であった(ひろみゴーのアチチの原曲)。



しばしばコンクリート舗装が現れる
 
視界が開けることも

 最初のうちは四輪車でよく踏み固められたダートと 
コンクリ舗装が交互に現れていた。しかし先に進むに
つれて段々と様相が怪しくなってきた。いつの間にか
轍が無くなり枯葉の堆積が激しくなっているのである。
そして右画像のような分岐が現れた。どちらへ行こう
かしばし悩んだのだが峠越えをするのだから登りの道
だろうということで右のルートを取る。しかしながら
すぐに行止まりとなりその先に頼りないシングルトラ
ックが続いていた。どうやら分岐を左にとらなければ
ならないようである。当初の予想よりもずっと道は荒
れていたので、今まで辿って来た道が茶呑峠に至る道
なのかどうか疑問を抱くようになっていた。


先程の分岐を右にとった先の行止まり地点
 
分岐を左にとった先。ガレがキツくなってきた。

  分岐を左にとった先に待っていたのは激しい勾配と
 ガレ場であった。しかも路上が沢と化している。最終
 減速比がノーマル仕様のままなのでところどころ"押
 し"を余儀なくされることとなる。この猛暑の陽射しを
 もろに浴びつつの"押し"である。体力の消耗は半端な
 ものではない。某地図の実線道がこんな悪路であるは
 ずはない。これはやはり道を間違えて違う作業林道に
 でも迷いこんだのだと思った。作業林道ならこの先で
 道が途切れているはずであり、それを見届けてから引
 き返そう。私の道探索の信条である。

 しかしながら無情にも道は先へ先へと続いている。 
見た感じこの先で道が途切れているだろうと思う箇所
が幾度とあったが、実際に近づいてみると車一車線分
の道が辛うじて続いているのだ。ここまでの道のりで
相当の体力を消耗しており、これでこの先、行止まり
になどなっていたら徒労どころの話ではない。しかし
これが作業林道だとしても行止まり地点を確認するま
ではそうと断定するわけにはいかないのだ。もはや意
地になっていた。所持している水(アミノサプリ)の
残量も少なくなってきたがそれでも前進を続けるので
あった。            茶呑峠2へ続く

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