裏山林道支線その1

 前回フルーツアタックで大敗北を喫した豪州05年式ハ 
ンター操るグロメク氏と私は北摂の地へとやってきた。
この地区随一のディープな林道"裏山林道"である。本線
の他に多数の脇道があり、不用意に突入すればタダでは
済まないという。さらに休日には人攫いのおじさんにそ
の淫靡な脇道に誘い込まれるというから恐ろしい。そん
なところに連れ込まれたらハンターなぞひとたまりもな
い。そこで今回は平日にその恐るべき林道を偵察するこ
とにしたのだ。裏山林道へとアクセスする野所長谷線林
道の入口が解らずに難儀したが、北側に位置する中山峠
よりなんとか辿り着くことができた。


 はてさて今回はあくまで偵察であり本線をまったり流すだけのつもりであった。それよりむしろ新し
く購入したガスストーブで"すき焼き"を作る方が楽しみだったのである(なんせ久しぶりの"牛"肉であ
る。モチベーションが違う)。また今回のギヤ比はローギヤード化させることなく街乗りセッティング
のままという体たらくぶりであった。しかしグロメク氏はヤル気マンマンであった。氏の5式ハンター
には新たにバニアケースが装着されており、カスタム7という超高級バニアケースらしい(インターネ
ットの検索エンジンでもヒットしなかったのである)。

  野所長谷線林道をしばらく南下すると裏山林道との分
 岐が現れた。裏山林道と記された石碑の横には非常に怪
 しげな脇道があったのだが私は見て見ぬフリをした。が、
 グロメク氏はその支線を見逃すはずはなく「行きましょ
 うか」と私を誘うのだ。ちょっとだけ様子を見るだけな
 らと渋々突入することに。 入口からタイルの廃材のよう
 な物が散乱しており全くもってイヤらしい感じだ。それ
 からすぐに道がガレていき、坂の勾配も段々とキツくな
 っていくのであった。途中いくつか分岐が現れ、走り易
 そうな方を選んで進むがやはりガレた坂が延々と続く気
 配である。途中で嫌気がさしたので引き返すことにした。

 その後、石碑のある分岐より裏山林道本線に入りひたすら進んだ。本線とはいっても適度にガレてい
たり道端から植生が覆いかぶさっていたりヌタ場まで登場する始末である。が、勾配がさほどでも無か
ったので街乗りセッティングのハンターでも楽しみながら走ることができた。途中いくつか分岐があっ
たが怪しげな支線には目もくれず本線と思しき方を進んだ。いくつめかの分岐でちょっとヤらしい方に
入ってみようとマディ路面っぽい支線に突入した。チュルチュルの路面に落ち葉が堆積しており、壊れ
たんじゃないかと思うくらいにハンターの車輪がとられる。 しばらく進むと棚田のある舗装路に出た。
ちょうどお昼時だったので、ここでいよいよ今日のメインイベント"すき焼き"を食べることにした。

 久しぶりの"牛肉"を頬張り本日のプログラムは無事に 
完了できた。「いやぁ裏山林道支線はハンターじゃちょ
っとシンドいねぇ」とまとめて帰途につくつもりでいた。
この日の天気予報は夕方から雨ということで、あまり悠
長に過ごしている時間がなかったのである。裏山林道本
線に戻り、しばらく走ると才ノ神峠に到着。峠から屏風
岩へ向かうべく南進するルートをとると、またしても怪
しげな支線が姿を現したのだ。まさか行くとは言わない
だろうと思いつつグロメク氏に「行ってみますか」と問
うと、ジャンケンをして氏が勝ったら突入してみようと
いうことになった。


  グロメク氏の勝負強さが発揮され、幸か不幸か突入の
 号令が下される。この支線の路面は所謂マディと呼ばれ
 るチュルチュル路面でハンドルがあらぬ方向へとられて
 しまう。また道端から生い茂るブッシュも尋常ではなく
 緑のトンネルと化している。私が写真撮影の為に停止し
 ていると先行したグロメク氏が引き返してきた。先がど
 うなってるか解らないから引き返したいとのこと。しか
 し大本営の返事は「戦果をあげろ」という無情なもので
 あった。このまま行けばたぶん野所長谷線林道に出るか
 らなどと言葉巧みに氏を諭して前進を再開。

 支線の中に更に怪しげな支線がいくつも現れる。これ 
が裏山林道の真髄なのかと戦慄が走る。そして我々が支
線の先に見たのは壮絶なる光景であった。とんでもない
深さで掘り下げられた路面の先に壁のような坂が立ちは
だかっているのだ。鬼のような斜度に深い轍、路面はズ
ルズルである。これが裏山林道名物ジープ坂(四駆坂、
パンチラ坂とも呼ばれるらしい )である。81式ハンター
で突撃を試みたが悲しいかなハイギヤードセッティング
ではジープ坂本体に辿り着く前のガレ場で車輪が止まっ
た。グロメク氏も私も裏山林道の真髄を目の当たりにし
て興奮ひとしおであった。



ジープ坂を上から望む。
 
ハイギヤードのハンターでの
到達は悲しいかな此所まで
 
画像では伝わりきらないが
手をつかないと登れない程の鬼坂である

  ジープ坂の他にも、とんでもないところにバイクのタ
 イヤ跡があったりと裏山林道界隈はまさにアタックコー
 スの宝庫であった。先程の道に戻り、坂を下っていくと
 人の頭大の石が目立つようになった。そしていつの間に
 か水が流れて沢と化している。石の大きさもエスカレー
 トして人の身体より大きくなる始末である。さすがにこ
 れは洒落にならない。ハンターを停めて先がどうなって
 いるか徒歩で偵察すると沢下り区間は50mほどで、その
 先はフラットな道が続いていたので強硬突破することに
 した。幾度となく腹打ちを食らうが、ここはハンター搭
 載のアンダーガードが大活躍するのであった。


 やがて砂防ダムのようなところに抜けてしばらく進む
と舗装路が現れた。最後のガレ沢区間で難儀させられた
が、ハンターならなんのそのであった。それにしても今
日は本線をのんびり走ってすき焼きを食べるつもりだっ
たのに、アタックすることになろうとは予想だにしなか
った。 途中でみたジープ坂などのセクションには度胆を
抜かされたとともに、我々はついに禁断の地へと足を踏 
み入れてしまったようである。
 ハンターでのジープ坂攻略は果たして可能なのであろ
うか。乞う御期待!         to be continued


今回の81式ハンターセッティング
タイヤ F Dunlop UNIVERSAL(2.75-17)、R Dunlop K350
空気圧 F1.5、R2.25
スプロケット F16T、R41T

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