フルーツアタック(豪州仕様ハンター性能試験)

 昨年大見尾根での合同演習、そしてホハレ峠旧道突破 
(徒歩)を共にさせてもらったベンリー90操るグロメク氏
がなんとハンターカブの豪州仕様車を新車で購入したと
いう。氏曰く、以前から興味はあったものの値段が高く、
買う意志など微塵も無かったそうであるが、当サイトを
拝見しているうちに心が動き購入に踏み切ったという。
嗚呼ぁぁ〜、なんという罪深きサイトであろうか。はて
さて納車1週間も経たないというのに、以前より何とか
私を走らせようと企んでおられた京都南部に位置する極
悪激坂をアタックすると言う。たいしたガッツである。

左:81式国内仕様車 右:5式豪州仕様車

 そして当日、待ち合わせ場所に05年式豪州仕様のCT110ハンターカブ操るグロメク氏がやってきた。
新車のハンターに乗る氏はほくほく顔である。豪州仕様車は国内仕様車には装着されていない副変速機
を搭載している。更にハンターオーナー憧れのサブタンク付きである(ちなみに私は値段が高いからと
いう理由で購入は諦めているヽ(`Д´)ノウワァァン )。悔しいがサブタンクを装着したハンターは格好いい
のである 。そしてちゃっかりセンタースタンドも着いていた。あれもこれもつけて楽しんじゃうつもり
である((c)某ハンター専門ショップ)。で、何より新車ということでピカピカなのである。
(ちなみにグロメク氏も私も某ショップでハンターを買ったわけではなかったりする(;´Д`))

  しばし談話の後、問題の激坂へと向かう。今回はグロメク氏に案内される
 ままについて行ったので詳しい場所は把握できていないのであるが、フルー
 ツラインと呼ばれる林道の支線らしい。入口から既に胡散な雰囲気が漂って
 いた。「車 単車 通行危険」の看板の先には枯葉が堆積しており、拳大の
 石がゴロゴロしている。本当にここを納車1週間、まだ慣らしも終わってい
 ない新車のハンターで行くのか?
  氏はおもむろに副変速機レバーをローに切り換え突入して行った。瞬時に
 ローギヤード化した5式ハンターは凄まじい低速トルクでテールスライドさ
 せつつ坂を駆け上がって行く。私も負けじとフロントスプロケットを3丁落
 としローギヤード化させた81式ハンターで後に続く。
 が、見事なまでに掘り下げられた轍で5式ハンターの車輪が止まった。



ズルズルの路面にタイヤが空転
 
まさに蟻地獄である。ウンともスンとも言わない

 一瞬この目を疑ったが副変速機でローギヤード化され 
た5式ハンターが前に進まないのだ。いつもいつも言い
訳の様に繰り返し述べているが、画像ではたいしたこと
が無い様に思えるがここはかなりの激坂である。いろい
ろと試行錯誤するグロメク氏だが事態は好転することな
く、引き返しましょうか?と、とうとう弱音を吐く始末
であった。ええいっ!貴様それでも帝国男児か!!
オレが行く!!

  これが金玉根性"押し"である。実に爽やかで男らしい。もう一度
 敢えて言う。画像では平坦に見えるが、ここはとんでもない激坂で
 ある。轍ではなく掘り下げられてない方にハンターを通し、"押し"
 で前進するのである。が、一段低いところでハンターを押さなけれ
 ばならないので、前進することもままならず支えているだけがやっ
 とである。すぐ後ろにピカピカの新車のハンターが待機しており、
 後ろへ倒れれば二台もろともこの激坂の餌食となってしまう。瞬く
 間に体力が消耗していく。フルフェイスヘルメットなのでこういっ
 た修羅場では息苦しいことこのうえない。その時である。大本営か
 ら両機無傷にて帰還せよとの電文が入る。この先無理に進めば間違
 い無くハンターを"投げ"ることになる。私の81式ハンターならまだ
 しも、納車1週間の5式ハンターにはあまりにも酷な話である。
 仕方が無いが撤収である。


 撤収が完了し(引き返すのも大変であった(;´Д`))しばらく唖然とするグロメク氏と私。
氏は登坂力抜群であるはずのハンターで敢え無く敗退したことにショックを隠しきれないでいた。
確かに今回のアタックではタイヤの空気圧も標準で、荷物なども積載したままであった。が、この後に
この極悪な道の先がどうなっているか徒歩にて視察に行ったのだが見るのもおぞましいものであった。
我々が前進を諦めた地点より先にもっと急で極悪な坂が待ち受けていたのである。それは岩盤剥き出し
激坂、木の根っこ剥き出し激坂、挙げ句にはとんでもない洗掘を備えた激坂である。まさに激坂の総合
庁舎である。途中、バイクを停めて休憩するポイントはほぼ皆無でありひたすら急坂が続くのだ。
ここをハンターで走破するにはタイヤをよりグリップするものに変える、空気圧を低くする、サスをよ
り走破性の高いものに交換などのメカニカルな部分の補強はもちろんだが、やはり根性、気合いなくし
ては到底無理である。しかし延々と続く激坂しかも岩盤木の根っこ洗掘のオマケつきである。ここを押
しで登ることを考えるだけでも目眩がする。果たして我々に勝機はあるのであろうか?

 さて、この後5式ハンターを少しだけ乗せてもらったのであるが、やはりいたるところで81式ハンタ
ーを上回っている。特に痛感したのが前後のサスの動きである。これはメンテ次第で良くなるはずなの
で今後の課題としたい。非常に参考になり助かった。グロメク氏に感謝である。早いところ慣らしを終
えてもらい、初"投げ"を期待したいところである。今後の氏のハンターカブライフからも目が離せない。

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