加久藤峠(堀切峠)

 昨年の九州ツーリングの際、旧道と思しきダートを見つけ 
ておきながら探索せずに撤収した因縁の峠道に再びやって
来た。加久藤峠(堀切峠)は国道221号の熊本と宮崎の県
境付近、加久藤トンネル上に存在する旧道の峠である。ツ
ーリングマップルなどの地図では堀切峠と記載されている。
現道の加久藤トンネルの人吉側、えびの側にそれぞれル
ープ橋が架けられていることから地理的にも相当険しい場
所であることが伺える。そのような”難所”に延びる旧道を確
かめることなく撤収した自分がとにかく情けなかったので、
リベンジすべく一年後再びこの地を訪れたのであった。
 

    今回も昨年と同じく人吉側から進むことにした。人吉ル
 ープ橋の途中に旧道への分岐点がある。この先もう一つ
 分岐が現れるが温泉の案内看板を頼りに進む。
  そして左画像の分岐箇所が現れる。左に曲がるのが旧
 道である。旧道の案内看板などは皆無であるが、実はこ
 の先に旧道であったことを物語る決定的な遺構が存在し
 ているのである。昨年は大寒波に見舞われた後に訪れた
 ので辺りは雪に覆われていたので全く気がつかなかった
 が、朽ち果てた大型貨物自動車と大型乗用自動車の通
 行止めの標識が立てられていたのだ。


分岐を曲がった先に道路標識がある 
 
道路標識を
ズームアップ
 
大型貨物自動車 及び
大型乗用自動車通行止め

 それにしても朽ちかけた道路標識が在りながらそれ 
を昨年訪れた時には見逃していたことに自己嫌悪を感
じずには居られなかった。全くこれでは旧・廃道探索家
失格だと思いながらダート路を進む。今年は残雪に覆
われることも無く路面の地肌が顔を覗かせている。
落ち葉の堆積した地道を進むとやがて茶色く朽ちたガ
ードレールも現れた。間違いない。この道はかつての
加久藤峠を越える旧道である。路面状況は至って良好。
 昨年は先ほどのダートの始まる分岐点からこちらへ
分け入って行く林業関係者の車も目撃している。
 


多少溝となっている箇所があるが問題の無いレベルだ 
 
道脇の樹木も刈り払いされ見通しも良い 

    もっと荒れているかと思いきや林業関係者が頻繁に
 入ってきているからか法面などの草木も刈り払いされ
 ており走り易い。そしてなだらかに続く坂を登り、幾つ
 かのカーブを曲がると不意に多くの標識が現れた。
 県境を示す標識である。錆び付いて標識の文字もか
 なり煤けているがなんとか読める。今にも標識が外れ
 落ちそうまでに朽ちているが、これらが残っているのは
 我々旧・廃道マニアにとっては有難い話である。加久
 藤峠の旧道は峠が県境では無いようだ。峠はこの先、
 宮崎県に入りしばらく進んだところにあるようだ。


 宮崎県 えびの市の標識
 
県境から振り返る 熊本県 人吉市の標識 


県境にも大型車通行止めの標識が 
 
県境の上部にある熊本県内各地の案内標識

  県境より少し進むと切り通しが現れピークになってい 
る。どうやらここが峠のようだ。落ち葉が堆積し趣のある
空間になっている。ここが峠だと示す標識などは残念な
がら見受けられなかった。倒木があるが車の通行を遮
るほどのものではない。それにしても道がそれなりによ
く整備されていたので呆気ないくらい容易にここまで辿
り着くこことができた。昨年は残雪と凍結でかなり険しい
峠道に見えていただけにやや拍子抜けである。ただこ
の季節にこの峠に来られたのは暖冬のお陰であり、幸
運なことと感謝しなければならない。
 

    峠から南側は人吉側にも増してよく整備されている
 感じだ。ガードレールも新しい物に付け替えられてい
 る。こちら側で軽トラックが停まっているのを目撃した。
 林業関係の方が作業に従事されてるのであろう。
 そして宮崎県側はちょうど陽がよくあたる時間帯なの
 であろう。暖かくそして眩しいくらい明るい。日なたに
 ハンターを停めてじっとしていると暑いくらいである。


峠より南側は幾つか分岐があるがダート路面を選び、進む
 
ここでハンターのメーターが55,555kmになった

 幾つか舗装路とダートの分岐が現れたがダート路面 
を選んで進む。そうするとえびの側のループ橋より加
久藤トンネル側の現道に出た。帰ってきてから気がつ
いたのだが、旧道は現道に沿う形でえびのループ橋の
下まで続いてるようだ。旧道を完全にトレースはしなか
ったが今回は加久藤峠(堀切峠)に立つことができた
のでこれで良しとしよう。思ったより道が良く整備されて
いたのが意外であったが旧道時代の標識が残ってい
るのがとても美味しい。しかしこの旧道は当時も大型
車は一切通行禁止だったのであろうか。周辺には林
道も多く延びており今後も調査が必要である。   
 

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