日和田隧道

 日和田隧道は最近市町村合併された下呂市萩原地区 
と馬瀬地区を結ぶ国道257号上に存在する廃隧道であ
る。新日和田トンネルの完成に伴い坑口をコンクリー
トで塞がれてしまい現在は通行不可能となっている。
 今思い起こせば私の旧道、隧道探索僻のルーツはこ
こにある気がしてならない。幼少の頃、親に「お化け
トンネルへ連れてってやるぞ」と連れて行かされ、運
転免許を取得してからも実家の友人達と何度か肝試し
なんぞに来たこともあった。今回訪れるのは実に十年
ぶりである。その時は確かこれまた実家の友人達と元
旦深夜に初詣でに行った後、車を走らせ訪れたのだ。

  さて今回は久々の訪問とあって萩原地区から隧道ま
 でオール旧道を走ることとする。現在は非常にハイア
 ベレージなバイパスが開通し、現トンネルまで一気に
 到達できてしまうのだ。このバイパスが開通したのが
 私が運転免許を取得したのとほぼ同時期で、昔はトン
 ネルまでの道程もぐねぐね道であり馬瀬地区まで行く
 のにはそれなりに難儀していたと記憶している。
  新トンネルまでの旧道は現在でも通行可能である。
 こちらは実に久しぶりの再訪となったが、枯葉が少な
 からず堆積しているものの全く荒れている気配はない。
 普通自動車の離合も楽にできる道幅である。



杉枯葉が堆積しているが道幅充分の旧道である
 
ぐねぐね道の旧道を登り切ると新道に接続する

 杉枯葉の堆積したぐねぐねの旧道を登り切るとやが 
て新道に接続する。そこから新日和田トンネルまでは
すぐであり、その手前に旧トンネルである日和田隧道
へと続く旧道入口がある。ここから隧道までの旧道が
なかなかの細道であるのだがバイクならなんてことは
ない。ただ杉林は鬱蒼と茂っており、昼間でさえ薄暗
く、ここが肝試しスポットとなっている所以が理解で
きる。更に今回訪れたのは日没直前であったので、よ
りいっそう不気味であった。

  そして日和田隧道と感動の御対面である。以前に来
 たのは十年前であると前述したがあの時は真夜中で隧
 道の姿など全く見えないに等しかった。なので実に十
 数年ぶりと言うことになる。隧道手前のガードレール
 も以前と何ら変わること無く置かれている。あたかも
 ここの空間だけ時間が停止しているようである。
  しばし再開の余韻に浸るがそうそうゆっくりはして
 いられない。日没まであまり時間が無いのである。
 続いて馬瀬地区側の坑口へとハンターを走らせる。こ
 ちら側も以前訪れた時と全く変わらない姿であった。



馬瀬地区側の旧道入口。採石場の敷地となっている。
 
日和田隧道馬瀬地区側坑口。


 ここで親から聞いた日和田隧道に関するエピソードを一つ。まだこの隧道が現役の頃の話である。
父と母が馬瀬地区へドライブに行った時のこと。ここ日和田隧道に差しかかった時に二人の女子中学生
が坑口手前に立っていたそうだ。二人の女子中学生は父と母の乗る車を見つけるなり呼び止め、お願い
したそうである。なんでもこのトンネルを通るのが恐いので向こう側まで乗せてほしいと言う。二人で
ハイキングにでも来ていたのだろうか?無論父と母は快諾して隧道向こう側まで二人を乗せたそうだ。
当時から貫禄充分な地元のお化けトンネルとして脚光を浴びていたことを裏付けるエピソードである。
願わくば未来永劫変わることなくあり続けて欲しい日和田隧道である。            終

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