夏の日のハンター1〜茶呑峠再訪と大ヌタ場〜

 廃道探索や整備の記録を改めて眺めてみると夏期は 
めっきりと少なかったりする。これは自身の仕事が夏
になると繁忙期を迎えるのと、やはり酷暑の中廃道ア
タックをするのもハンターをメンテするのも生命をも
脅かす危険があるからだ。鍛え抜かれ強靱な肉体を持
つ高校球児でさえこの酷暑で熱中症に見舞われ病院送
りになるというニュースが流れている。それでもこの
夏はたった2度ではあるがハンターで探索に出かけた。
 一つ目は昨年6月に熱中症に見舞われ吐きそうにな
りながら根性で"押し"て登った茶呑峠の再訪である。
梅雨がまだ明けてなかった7月初頭の出来事であった。


  7月半ばからハンターで東北地方へロングツーリン
 グを控えているグロメク氏を捕まえて雨天決行での敢
 行であった。貰い物の登山用ゴアテックス合羽とブー
 ツカバー、雨降りだったのでフルフェイスヘルメット
 を装備してすっかりガチャピンルックと化したが、ガ
 チャピンの中の人みたいに国際A級テクニックが無い
 のが悲しい。しかしながら昨年と全く同じルートで茶
 呑峠までいとも簡単に辿り着いてしまった。あの時か
 ら裏山、I山、フルーツなどの激坂を攻略してきて、マ
 シンもモデファイしてきたし、ライディングスキルも
 向上したのは喜ばしいが、やや寂しくも感じられた。


  はてさて茶呑峠を後にして再び京北町へ戻る途中、ハンターを停めると
 グローブに1cmくらいの茶色い尺取り虫のようなのが付着しているのに気
 がついた。よくよく見るとハンターの荷台にも何匹か同じのが這っている。
 再度グローブに付いているその尺取り虫をよく見ると指の付け根に潜ろう
 としているのだ。一瞬にして血の気が引いた。蛭である。慌ててブーツを
 脱ぐと靴下にも一匹くっついていた。グロメク氏のハンターのフロントキ
 ャリアにもくっついており、氏は慌てて自身のパンツの中を確認していた。
 まさにスタンドバイミーの一場面である。幸いにも陰部に潜りこまれるこ
 とも無く、ブーツの中に入られはしたものの血を吸われることも無かった。
 茶呑峠に到着してから数100m程鳴の堂へと続くシングルトラックに踏み
 入ったのだが恐らくその時薮漕ぎした時に襲われたのだろう。


 茶呑峠を後にしてから某府道の未開通箇所を探索してみたが倒木の数が 
半端でなくすぐさま撤退させられることとなった。なにがしかこう消化不
良というか不完全燃焼と言った感じだったので大見尾根へ行こうというこ
とになった。そして昨年に突入して偉い目に遇った大ヌタ場へと到着する。
先行して先に到着していたグロメク氏はハンターをスタンドを立てて停め
デジカメを構えつつこう言った。「この場所で僕がこうしてデジカメを構
えているということはどういうことか解りますよね( ̄∀ ̄)ニヤリ」
ハメられた。しかもここに到着するまでは止んでいた雨が結構大粒の雨と
なって降り出す始末である。カメラを向けられてはセコセコとエスケープ
ルートを通るわけにもいかず男の一発直進ルートを進むことにした。

  ユルユルと慎重にヌタ場へと突入開始。が、これが
 いけなかった。例によってズブズブと沈んで行く81式
 ハンター。アクスルシャフトまでいとも簡単に沈み、
 すぐに完全停止した。すかさずグロメク氏が後ろから
 "押し"に入るがタイヤは虚しく空転するばかりである。
 そしてこの空転するタイヤがこの大ヌタ場の底の泥を
 水面にかき出すのである。臭いっ(T▽T)
 ドブの臭いそのものである。この臭いで完全に戦意喪
 失である。しかし前にも後ろにも動かないハンター。
 どうやら底にスクーターのタイヤが沈んでおり、それ
 がスタンドに引っ掛かっていたせいで停止したようだ。


 昨年は"押し"が入ることでクリアできた大ヌタ場だが、今回は完全敗北である。なんとかバックでヌ
タ場から離れることができたが、エンジンも半分程水没してしまったのでさすがにこれはマズいんじゃ
ないかと思ったがあっさりと再始動できた。さすが水没走行を想定した設計のハンターカブである。
が、ヌタ場の中の繊維質のゴミがスポークに絡まるわで81式ハンターそのものがドブ臭くなってしまっ
たのが痛恨だ。このヌタ場には蛭はいなかったのがせめてもの救いであろうか。グロメク氏はいい絵が
撮れたと御満悦の様子である。ちなみにこのヌタ場突入の動画が保存されているのだが、なんともぶざ
まなハンターの様子が収められているのでやはりこれは戦意高揚に全く値しない。お蔵入りになる可能
性が高いのが残念きわまりないところだ。(ファイルサイズを小さくしてアップロードしたいのだが、
今のマシン、OS環境ではそれが出来ないのが辛い(;´Д`))
 ともかく茶呑再訪と大ヌタ場でハンターの短い2006夏が始まったのであった。        続く

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