ホハレ峠2008春〜トガス登山〜

 はてさて半年以上放置プレイが続いていたこのサイトであるが、久しぶりの更新のネタはやはり”ホハ
レ”絡みなのである。
 今年の3月に門入を訪れるつもりでいたが休日と天候がなかなか合わず、気がつけば4月になってい
た。更に悪いことにフリークライミング中に右中指を擦り剥き、この傷口からバイ菌が入りパンパンに腫
れてしまっていた。4月最初の週末の前日夕方にこの右中指を手術して膿を絞り出したのだが、翌日の
奥美濃地方の天気予報は快晴である。このチャンスを逃すわけにはいかない。しかしさすがに術後なの
でテント泊での門入行きは無謀と考え、以前から登りたいと思っていたトガス(1076.8m)へ登ろうと
決めた。まだ私がホハレ峠に立つ以前…。机上でネット検索で調べている頃に何度となく”トガス”という
言葉を目にしていたので気になっていたのである。今の時期なら藪に苦しめられることもないだろうし、
残雪があればワカンでスノーハイクが楽しめそうだ。

 手術が終わってすぐにレンタカーを手配して、準備を整えて夜10時に京都を出発した。
道の駅「夜叉ヶ池の里さかうち」に着いたのは夜中の3時。ちなみに今回は関ヶ原を越えて大垣経由で
坂内入りした。京都からホハレに行くには木之本→八草トンネルのルートが最短であるのだが、何度も
事前情報を調べないまま現地へ赴いて通行止に泣かされている。今回もやはり八草トンネルは通行止
なのであった。

 道の駅「夜叉ヶ池の里さかうち」で仮眠をとり朝の6時に出発。
残雪が心配だったホハレ林道は舗装がダートに変わる地点の
手前のヘアピンカーブまで車で行くことができた。このヘアピン
カーブの箇所だけ道幅半分以上の雪が残っており、軽自動車
一台ギリギリ通れるか通れないくらいの幅があったが、路面は
残雪が解けた水が凍ってテカテカである。ここはかなり危険で
あった。スパイクかアイゼンを装着しなければ通過不可能であ
る。アイゼン装着が面倒なので残雪部分を歩いてカーブを通
過した。そして7時15分に旧ホハレ峠のお地蔵さん前に到着。
トガス登山の無事を祈って出発した。
 

    旧ホハレ峠から北に延びる林道(鳥帽子山林道)を進んでトガスの取り
 付き点を目指す。しばらくすると残雪が道幅いっぱいになる。ワカンを装
 着しようかと思ったが雪が締まっていて登山靴でも雪に潜ることなく歩け
 たのでそのまま進むことにした。
  軽快に歩いていくとやがて放置されて横倒しになっている軽トラックを
 発見した。この先のカーブを曲がって数十メートル進んだところで進路を
 林道から西斜面にとることにする。傾斜も緩やかで樹木や藪の密度も薄
 く残雪も豊富にあったのでここを取り付き点としたのである。
  ここで初めてワカンを装着した。雪面をストックとワカンで登っていくの
 はなんとも楽しい。もっともこの時は雪がある程度締まっていてほとんど
 潜らなかったからであるが。ワカンを着けていても雪が締まっていないと
 腰まで潜ったりするのだがこうなると苦行以外の何者でもなくなる。

 トガス山頂へ向けてひたすら斜面を登る。
途中ふと振り返ると谷の向こうにそびえる蕎麦粒山が見えた。 
もっと驚いたのが蕎麦粒山の中腹に新ホハレ峠道"王子製紙 
の作業道"の道筋が見えたことである。画像では解り辛くて恐
縮であるが、あの巨大なヘアピンカーブもハッキリと道筋が見
える。一昨年の秋にはあそこをグロメク氏と悶絶しながら歩い
ているので感慨もひとしおであった。
 


    これまでの登行中、残雪がほとんど無くなり潅木や藪がやや濃い箇
 所で難儀させられたが、これといって特に緊張する場面はなかった。
  しかし頂上手前の最後の斜面がちょっとヤらしかった。これまでで一
 番急な斜面でありながら雪質は全然締まっていなく、ワカンがズボズボ
 埋まる。この雪斜面の下がスパッと切れ落ちた崖で、滑落すれば死に
 こそしないまでも痛い目にあいそうである。
  ワカンで雪を踏み固めながらトラバース気味に斜面を登っていった。
 

 急斜面を乗り越えると傾斜は緩やかになり、しばらく進んでいくとやが 
て広場になっていた。ここが山頂のはずである。山頂標識を探すと、頭
上3メートルほどの樹にくくりつけられていた。9時45分トガス山頂着。
 山頂には私一人である。ここでビニールシートを広げて遅めの朝食を
とる。メニューはまたしても早茹でパスタにミートソース、そして高級ウイ
ンナーであった。誰もいない山頂を独り占めして美味しいご飯。最高の
気分である。
 


トガス1076.8m

 


蕎麦粒山 

 


下山中。遠くに能郷白山? 


 山頂でゆっくりしてから下山にかかり、ホハレ林道に置いてきた車に戻ったのは正午前であった。
予想通り残雪が程よく残っており藪に苦しめられることなくスノーハイクを楽しむことができて満足で
ある。それにしても気になるのがやはり蕎麦粒山である。次はあの頂の上に立とうと誓うのであった。
それに途中で見えた王子製紙道の道筋である。積雪期にあそこを辿れば藪にまみれることなく快
適に廃道ハイクを楽しめるのではないか。どんどん欲が膨らみ困ったものである。

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